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2024年3月23日

ジャン・トゥイトゥは2022年12月に故郷のチュニスを訪れた際、2曲を作詞、作曲し、A.P.C.のスタジオでレコーディングしました。「Canada」、「Canada Dub」、「Ode au Cimetière du Borgel(ボーゲル墓地頌歌)」の収録曲で構成されているミニEP「Canada」は、全ての音楽ストリーミングプラットホームでデジタル配信され、レコード盤も入手可能です。

アルバムのタイトルにもなっている1曲目の「Canada」は、マイナー・モードとメジャー・モード両方の旋法でありながら、三進法(ヴァースとコーラス)と二進法(ブレイク)という珍しい特徴の楽曲となっています。
「体系化された基本のリフから逸脱したかった。ジミー・ヘンドリックスのベースラインを真似しようとしていたのですが間違えてしまったのです。それで、馬鹿げた発想や韻を踏むことを思いつきました。」と、ジャン・トゥイトゥは語ります。

常に友人や家族の名前に惹かれていることもあり、ニノ・フェレールの批判的な音楽を若干思い出させるような面白い楽曲を作り始めたのです。この曲は、ジャンの想像上の奇跡的な場所のコードネームです。「この曲を書いた時、思春期に引き戻されました。当時は、意味が分からなかったのですが、私の知らない死後の世界、両親が発見したエデンの園について話していたのでしょう。」と、ジャンは振り返ります。

ブレイクの迷い(“je sais pas sais pas si j’y vais ou vais pas” 「行くか行かないか、どうするか分からない」 )ですが、カルタゴ市の隣町のクラムのKodakというレストランで、卵を添えたスパイシーなメシュイヤホットサラダか、Nasserレストランのひよこ豆のスープと古いパン、どちらを食べるかという難しい選択を意味しています。ジャンの友人のブライアン・アダムスがこの曲の構想に力を貸してくれています。
「ブライアンは私に根本的なアドバイスをしてくれました。曲の最後にもってきていたコーラスを冒頭にもってくることで、よりキャッチーな楽曲となりました。」と、ジャン・トゥイトゥは語ります。

Echoplex(エコーマシーン)を使って録音した「Canada」のダブ・バージョンは、1970年代のジャマイカの伝統を受け継ぎ、チュニジアのストリートの雑踏のサウンドを取り入れています。
「レイナルド・アーン」の抜粋から始まり、ジャンの叔母のクロディーヌ・レヴィが歌う「Ode au Cimetière du Borgel (ボーゲル墓地頌歌)」は、ジャンの祖父母が眠る墓地や、家族の思い出の場所の中で、ジャンがこれまで一度も訪れたことのなかった場所などに赴くことで誘発された、プルースト的な意図していなかった記憶の実践となっています。

墓地は不安定な地盤にあり、お墓が持ち上がっている様に見えて、それが、「まるで、死者が反乱を起こしているような、ある種ボルタンスキーのインスタレーションのように思われました。ここを訪れたことで、少し神秘的な気分になり、14歳の夏のことを思い出しました。」と、ジャンは語ります。

突然中止になった釣り旅行、予期していなかった聖体拝領、当時の大人になるための通過儀礼を想起させるこの曲は、12弦のギターをバックに、フラッシュバックの物語がトランス状態で語られるような作曲となっています。


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