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A.P.C.のジーンズ

A.P.C.のジーンズはすべて、ブランドのためだけに開発された日本製デニム生地から仕立てられています。70cm幅の旧式シャトル織機で織られた14.5オンスの綾織りデニムは、織りに生まれるわずかなムラがその個性となっています。加工を施さないリジッドデニムにインディゴ染めを施したA.P.C.のデニムは、着用を重ねるほどにその表情を深めていきます。擦れる部分は色落ちし、擦れない部分は深い藍色を保ち、その変化は着用する人自身を映し出すものとなります。

70cmという生地幅は、日本で着物を織るために使用されてきたシャトル織機によるものです。この限られた幅の生地だからこそ、生地本来の耳(セルヴィッジ)を脚の外側の縫い目に使用することができます。セルヴィッジは裾を折り返したときにだけ現れるディテールです。ゆっくりと織り上げられる旧式織機だからこそ、現代の工業用織機では再現できない独特の風合いと質感が生まれます。

14.5オンスという生地の重さも、A.P.C.ならではのこだわりです。生地が着用による変化を刻み込みながらも、馴染むまでに過度な時間を必要としない絶妙なバランスを追求しています。糸には単撚り糸を使用し、生地は右綾織りで織られています。綾目は右から左へと走り、この織り方が生地の馴染み方や経年変化を生み出します。

インディゴ染料は繊維の内部まで浸透するのではなく、糸の表面に幾重にも重ねられます。そのため、着用を重ねるにつれて一本ごとに異なる色落ちやコントラストが生まれます。染色の層が厚いほど、その変化はより豊かになります。また、すべてのA.P.C.デニムは裁断前にサンフォライズド加工(防縮加工)が施されており、生地を安定させるとともに、洗濯による縮みを最小限に抑えています。

この織元とは、30年以上にわたり契約書を交わすことなく協業が続いています。仕上げに関する正確なレシピは一度も公表されたことがなく、この特別な生地は他ブランドへ販売されることもありません。

唯一の目印は、ギターと短剣が交差したモチーフが刻印されたトップボタンです。1988年以来変わることなく受け継がれてきた、A.P.C.ならではのディテールです。

A.P.C.デニムの誕生については、Jean Touitou自身が次のように語っています。

A TEXT BY JEAN TOUITOU

ブランド創業当初、私はA.P.C.を立ち上げる資金を得るため、まだ銀行を信用しておらず、自分自身にも十分な資産がなかったことから、いくつかのブランドでゴーストデザイナーとして仕事をしていました。ひとつはロンドン、もうひとつはトロント、そして三つ目はパリのブランドでした。そのパリのブランドはデニムに関して非常に豊富な経験を持っていました。ある日、そのブランドのオーナーに「良いブルージーンズを作るにはどうすればいいか」と相談したところ、日本製の幅の狭いデニム生地を一反譲り受けました。
教えられたのはただ一つ、「赤耳を脚の外側に配置すること」少し不思議に思えるかもしれませんが、実際はとてもシンプルな考え方です。私はパターンを描き、型紙を作り、生地を裁断し、近所の仕立て職人のアトリエで最初のジーンズを縫製しました。その職人は、この新しい挑戦に参加できることを心から喜んでくれました。しかし当時の私は、デニム愛好家や専門家たちが大切にしている数々のルールや慣習を知りませんでした。たとえばウエストベルトはバイアス裁ちにするのが一般的ですが、そのことを知らなかった私は地の目に沿って裁断しました。そして、その仕様は今もA.P.C.に受け継がれています。

Sketch by Shinya Hirota / Sketch by Jean Touitou

Left: Sketch by Shinya Hirota from the A.P.C. studio
Right: Sketch by Jean Touitou

生地上のパターンの配置

セルヴィッジを脚の外側に配置する理由は、とてもシンプルです。生地の耳同士を脚の外側で合わせることで、脚のラインがねじれにくくなり、美しいシルエットを保つことができます。

NO-SELVAGE (US: selvage, UK: selvedge)

「セルヴィッジ」という言葉について言えば、ジーンズを「セルヴィッジ」と呼ぶことは、「水は濡れている」と表現するようなものです。フランス語で「selvage」は生地の耳を意味し、すべての織物には耳があります。耳がなければ生地はほどけてしまうからです。とはいえ、この呼び方は現在では広く定着しています。「赤耳付きの生地を使い、その耳を脚の外側に活かしたジーンズ」と説明するより、「セルヴィッジデニム」と呼ぶほうが分かりやすいでしょう。多少の表現の簡略化は受け入れるべきものです。たとえば、一般的にR&Bと呼ばれる音楽も、本来のリズム・アンド・ブルースとは必ずしも一致しているわけではありません。

生地について

最初に譲り受けたその幅の狭いデニム生地がどこで織られているのかを調べたところ、広島近郊の織元であることが分かりました。私はその織元に連絡を取りました。東京のA.P.C.第1号店の成功によって、彼はすでに私の仕事を知っており、「A.P.C.だけのための特別な生地を作ろう」と提案してくれました。私はその提案を受け入れました。その生地には、今もなお私と彼だけが知る秘密があります。そして35年以上が経った現在も、その秘密が明かされることはありません。契約書を交わしたことは一度もありませんが、彼は私たちだけのレシピを守り続け、この生地を他ブランドへ販売することは一度もありませんでした。これこそが、A.P.C.デニムの原点です。

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