「セルヴィッジ」という言葉は、A.P.C.が創業当初から大切にしてきたクラフツマンシップを象徴しています。優れた品質と耐久性を支えるセルヴィッジデニムは、A.P.C.のアイデンティティの一部として受け継がれています。
セルヴィッジデニムの起源と製法
セルヴィッジデニム生地の織り方
「セルヴィッジ(Selvedge)」という言葉は、英語の「Self-Finished Edge(自己完結した端)」に由来します。セルヴィッジデニムとは、生地の端が織りの工程の中で仕上げられたデニム生地のことを指します。一般的なデニムとは異なり、生地の端がほつれにくく、美しい仕上がりが特徴です。
セルヴィッジの歴史
セルヴィッジデニムは19世紀末のアメリカで誕生しました。当時のデニムメーカーは、それぞれ異なる色の糸を耳部分に使用し、自社製品を識別していました。
20世紀初頭になると、ジーンズ需要の高まりに伴い織機は近代化され、生産効率が向上します。
第二次世界大戦後、セルヴィッジデニムは日本で新たな発展を遂げました。もともと着物生地の製造に使われていた幅約70cmの旧式織機を活用し、伝統的なセルヴィッジデニムの生産が再開されたのです。製造環境は変化しても、受け継がれた技術による品質の高さは今も変わりません。
セルヴィッジデニムとリジッドデニムの違い
セルヴィッジデニムは、しばしばリジッドデニム(生デニム)と混同されます。
リジッドデニムとは、インディゴ染めの糸を使用し、ウォッシュ加工などの後加工を施していないデニムのことです。一方、セルヴィッジは織り方を指します。旧式織機で時間をかけて織り上げられるため、一般的に密度が高く、耐久性に優れた生地となります。
A.P.C.とセルヴィッジデニム
デニム愛好家に支持されるA.P.C.ジーンズ
1950年代以降、ジーンズは世界中で広く普及し、多くのメーカーが大量生産体制へ移行しました。その一方で、日本の生地メーカーは伝統的なセルヴィッジデニムの製法を復活させます。
A.P.C.創業者Jean Touitouは、その魅力にいち早く着目したデザイナーの一人でした。1980年代、さまざまなブランドでフリーランスとして活動していた彼は、広島でヴィンテージ織機の専門家と出会います。そして二人だけが知る独自のレシピによって、A.P.C.ならではのデニムが誕生しました。
現在もA.P.C.のセルヴィッジリジッドデニムは、当時と同じ日本の工場で生産されています。
A.P.C.の定番セルヴィッジデニム
A.P.C.のタイムレスなデニムコレクションには、日本製セルヴィッジリジッドデニムを使用した代表的なモデルが揃っています。
- Jean StandardA.P.C.を代表する歴史あるモデル。ややゆとりのあるストレートシルエットと高めのウエストが特徴です。
- New Standardミッドライズ仕様のクラシックなストレートフィット。
- Petit New Standardミッドライズで、より細身のシルエットを採用したモデル。
- Petit Standardローライズ仕様のスリムフィットモデル。
- Work Jacketストレートシルエットのリジッドデニムジャケット。
A.P.C.セルヴィッジデニムのお手入れ方法
1987年のブランド創設以来、Jean StandardをはじめとするA.P.C.のリジッドデニムは、世界中のデニム愛好家に支持され続けています。
着用を重ねることで、生地は持ち主の体に馴染み、独自の色落ちや風合いが生まれます。長年の着用にも耐える丈夫さを備えながら、一着ごとに異なる表情へと育っていくのが魅力です。
その美しい経年変化を楽しむためには、頻繁に着用しながらも洗濯はできるだけ控えることをおすすめします。着用開始から3〜6か月後を目安に、裏返した状態でドライクリーニングを行うとよいでしょう。
すべてのデニム製品の洗濯方法
A.P.C.のデニムは水洗いも可能ですが、生地の特性を保つためには適切なケアが重要です。
正しいお手入れを続けることで、生地は徐々に柔らかくなり、自然な色落ちやアタリが生まれます。そうして育ったデニムは、持ち主だけの個性を映し出す特別な一着となり、長く愛用していただけます。